R3,3喜楽大きく
喜怒哀楽 命愛せよ誉なくすな
川辺町教育長 長谷川哲
「二月は逃げる」は言いえて妙。如月は「来て去る」ように過ぎ、いよいよ弥生3月です。新型コロナウイルスワクチン接種が始まりました。来年の2月までのロングランですが、耐えて待った者どうしあとしばらくの辛抱です。
突然の学校休業要請から1年。今年も卒園式や卒業式がやってきます。学校現場に勤めているときも、この職を頂いてからもお別れの式に涙あり感動あり感謝ありで、子どもたちと共に過ごせ、成長に寄り添い、喜びを共有できる職を選んで良かったと思うときの連続でした。いろいろな出来事や苦労したことも吹き飛びます。現職を頂いてからも、入園式や入学式のあの姿に照らして、どの子もこの子も卒園・卒業の姿に感無量です。「あんなことこんなことあったでしょう」と健気な歌声に思わず目頭が熱くなります。「これが共に歩んだ仲間です」の合唱に涙で式場が曇りました。
『蛍の光』『仰げば尊し』『巣立ちの歌』『贈る言葉』『思い出のアルバム』と言っても「何?」との方も多くなってきました。「昭和は遠くになりにけり」でしょうか。
今年度卒園・卒業する子どもたちには、様々な行事や活動・式・遠足・旅行など短縮・変更・延期・中止で、思い出づくりや楽しさの味わいに彩りを添えてあげることができなかったなあ、「許してね」との気持ちでいっぱいです。保護者の皆様にもご苦労やご心配、ご負担をおかけしました。
喜怒哀楽
学校運営を任されたときに子どもたちや先生方に伝えお願いしたことは「喜楽大きく」「怒哀少なく」「命愛せよ」「誉なくすな」です。教育長室にも掲げ続ました。どの子にも「喜楽大きく」「怒哀少なく」時よ来たれ、居心地の良い家庭や家族に囲まて自尊感情を持ち、安心・安全な園や学校ですくすく育てよ、子どもは大人になって行く人を忘れず、一人に一つは得意技があり、良さを引き出し、伸ばし、時に鍛えてあげようとの願いです。
金子みすゞに『灰』という詩があります。
灰
花さかじいさん はいおくれ ざるにのこった はいおくれ
わたしはいいことするんだよ さくら もくれん なし すもも
そんなものへはまきゃしない どうせ春には咲くんだよ
一度もあかい花咲かぬ つまらなそうな森の木に
はいのありたけまくんだよ もしもみごとにさいたなら
どんなにその木はうれしかろう どんなにわたしもうれしかろう
3月は卒業、別れ、進級、就職、新しい世界への旅立ちなどなど人生の大きな節目を彩るときでもあります。新しい世界でどの子も子の子も「私という花を咲かせてほしい」と願っています。私たちが温かい心の灰で包み込みながら・・・・。